アイシールド21のヒル魔×まもりの2次創作を晒すブログです。
Posted by keika - 2007.08.15,Wed
ガタタン、ガタタン。揺れる視界に見慣れた色。視線が窓の外の夕焼けからそちらに引き寄せられた。
a railroad
ガタタン、ガタタン。一定に刻まれるリズムには毎度ながら眠気を誘われる。
部活で酷使した身体は休息に入りたがるが、俺の脳みそはそうはさせない。愛用のノートパソコンを開き情報収集の続きをはじめる。
ガタタン、ガタタン。流れる景色に目をやる暇はない。俺が電車を利用するとき、俺の周りには必ずぽっかりと開いた空間が出来る。逆立てた金髪に厳ついピアス、銃火器を傍らに立てかけ所持している人間の隣に腰を下ろそうとする奴なんてそうそう居ないだろう。いるほうがおかしい。いればそいつは周りの奴に頭を心配されるか、頭のおかしな奴としてカテゴライズされるだろう。
キリの良いところ迄一気に済ませ、筋肉をほぐす為に頭を上げた。瞬間、車内が凍り付いたように感じたが気のせいではないだろう。この箱の外の世界は着々と夜に入る準備をしている。窓の外に映る色が、だんだんと彩度と明度を落としたものとなっていく。傍らに立てかけていた相棒を手に取りそいつを支えに凭れ掛かった。
ガタタン、ガタタン。
周りを見れば先ほどと大して変わった様子はなく、やはり俺の周りにはぽっかりと空間が出来ている。変わったところといえば、さっきまで俺と一定の距離を保って立っていた人間の顔ぶれが少し変わっていたということと、傍らに追加されたイレギュラーな存在だ。
自分が眠っていたことに気が付く。自分の左側、愛用の銃の反対側に鎮座している見慣れた包みの四角い物体。現在の駅の位置を確認して、あれから5分に満たない時間しか経過していないということが分かった。うつらうつらとしていた程度だろう。そういえば、あいつの降車駅はひとつ前の駅だったななどと考えながら包みを取り上げる。中身は見なくてももう分かるほどなじみのあるもの、レモンのはちみつ漬け。
包みの間に何か挟まっている。取り出してみると、これまた不本意ながらも馴染みのあるものとなってしまったいかれたクマの絵柄のメモ。
少し揺れてよがんだ、見覚えのある筆跡。
『今日の残りなんだけどレモンのはちみつ漬けです。ちゃんと家に帰ったらご飯食べて早く寝なきゃだめだよ。』
テメェはおれのお袋か。
端が少し千切れた紙切れは、あわてて書いて挿んでいったのだろう。少し皺が付いている。今日は確か部活が終わってすぐに頼まれた物があると言って帰ったはずだが、まさか同じ電車に乗っていたとはな。
昼と夜との境界線の時間帯。駅をあとにして帰路についている姉崎は、制服の袖で汗を拭っていた。九月に入ったとはいえ残暑はきびしく、湿気を含んだぬるい風は汗を引かせるどころか、更なる水分を体の中から引き出そうとする。姉崎は、先ほどの蛭魔の姿を思い出していた。
自分が乗っていることにも気付かないほどデータ収集に余念がなくて、結局声すらかけられなかった。本当にアメフトが好きなのだと気付かされる。
私が出来ることは彼らのサポートだ。
フィールドの上を駆けるのは11人の選手たち。ベンチで彼らのサポートするのは頼りになるトレーナーと、元気を分け与えるチアリーダーと、たった一人のマネージャー。
甘いものは好きじゃないくせに、レモンのはちみつ漬けは持っていけばそれなりに食べる。もっとも、甘いものも全く食べれないわけではないようだ。自ら進んで食べることは絶対にないけれど。
以前自分が持っていった差し入れのチョコレートをたった一欠けだけ口にしたのを見た。
あのときの私は、よほど驚いた顔をしていたのだろう。『文句あるのかテメェが持ってきたんだろうが』といった目で睨まれた。
確かに、彼には他のメンバーに比べてだいぶ甘さを控えたものを渡した。だが口にすることは全く期待していなかった。眉をしかめながらも丸呑みにするわけでもなく、きちんと租借して飲み込んでいた。
直後に「コーヒー」と言われたけれど。
左手に持った母親に頼まれたお使いの袋を持ち直す。明日も天気はよさそうだ。
明日、彼が学校にタッパーを洗って持ってくるか賭けてみよう。洗ってない方にシュークリーム一個、自分で自分に賭けてみた。
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同じ車両に居るマネージャーとキャプテン。
2007.8.15 text by keika
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